キャリアを有する看護師の復職に潜むリスク

看護師としての勤務経験を通じ、相応のキャリアとスキルを有した女性看護師が、出産から育児のために離職せざるを得ないケースが少なくないのが現状だ。
その後復職を希望するも、当人の思い通りの再就職が叶わない、再就職後も以前のような働きができないなど、想定外の状況に困惑してしまう事例もまた、数多く報告されている。
こうした望まざる展開には複数の要因が考えられ、復職に際しては十分な準備とシミュレーションが不可欠である。

医療現場では日々進化を遂げており、そのスピードも年々早まりつつあるのが現状だ。
復職を希望する看護師のブランク期間が長くなればそれだけ求められる最新知識や技術と、当人が有するそれらにズレが生じて当然だろう。
その結果、以前のような高品質な仕事が実践できず、戸惑ってしまうケースが少なくないのである。

また、家事・育児と仕事との両立も思っていた以上に大変なものであり、心身共に負担をかけてしまうケースも多く、激務の看護職にとっては常に重責と向き合うのが日常なのだ。
こうしたリスクを抑制するためには、自身のライフスタイルに合った勤務形態の選択、そして家族の理解と協力が不可欠である。
そのためには、最初は勤務時間に融通が利くパートでの復職で様子を見る、家事をすべて背負い込まず家族で分担してもらうなど、柔軟な考え方が大切だ。
こうして少しでも心身に余裕が感じられる仕事環境を整える中、勤務を通じてリアルタイムで看護師に求められる知識や技術を身につけてゆけば、復職当初の不安や戸惑い、さらには心身のストレスの軽減が期待できるだろう。